妻へ。君がお星さまになってから、1年が過ぎたね。シングルファザーの僕は、今じゃすっかり子育てが楽しくなった。
「育メン」って知ってる? それは育児する男性のこと。僕はイケメンじゃなかったけど、育メンになれたよ。なにやらイケメンよりも女性にモテるらしいから、僕がモテちゃったらどうしようね?
なーんてウソだよ。大丈夫、僕の愛する人は、後にも先にも君だけだから。
2歳半になった琴美は、日に日に君に似てきたよ。もう可愛くて可愛くてさ。残業なんかしないでまっすぐに保育園に迎えに行くんだ。
迎えに行くとね、僕の姿を見つけた途端、「ウキャー!」なんて言いながら、大喜びでバンザイして、変な走り方で僕に突進してくるんだ。だから僕は琴美を胸で受け止めて、ギュウってして高い高いしてグルグルしてから降ろすんだよ。
そんな琴美がさ、保育園でいろんな歌を覚えてくるんだけど、一番のお気に入りは「きらきら星」なんだ。
「きらきら光る お空の星よ
まばたきしては みんなを見てる
きらきら光る お空の星よ」
琴美曰く、これはママの歌なんだって。それで二番の歌詞をさ、琴美がこんなふうに歌うんだよ。
「きらきら光る お空のママよ
琴美の歌が とどくといいな
きらきら光る お空のママよ」
誰も教えたわけじゃないんだ。保育園にも確認したんだ。琴美が自分で歌詞を替えて歌ってたんだよ。琴美は、お星さまになった君のことを今でもちゃんと覚えている。
琴美の歌声、届いているよね?
きらきら光るお空の君よ。僕も琴美も、君に負けないくらい、いつもきらきら光っていられるように頑張るからさ、空から見守っていてくれよな。