第12回
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父の文箱
お母さんが、とても大事にしていた黒塗りの文箱があります。あの戦争時の戦地からのお父さんの便りが全て納めてあります。…
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お父さんへ
お父さん天国での毎日には、もうすっかり慣れたでしょうか。小さい時に死別した両親、お父さんを育ててくれたおじいさん、お…
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同級生のお父さんへ
同級生のお父さんへお父さん、わたし、お父さんと同級生になりました。五十二歳で、早すぎると言われて旅立った、お父さんに…
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母親に戻った母
お母さん、ごめんね。認知症にもっと早くに気づいてあげられなくてごめん。結婚して同居していなかったからと言っても、月…
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何処かでお会い致しましょう。
平成三十一年春。八十八歳。父の闘病生活が終わりました。お父さん、ずいぶん長い闘病生活になりましたね。今はもう痛いと…
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私の代弁者
ばあちゃん、私、小さい時うまく言葉が喋れなくて、いつもうなずいて返事をするか、恥ずかしくて言葉が出ないかで「家では…
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古希の聖火ランナー
昭和三九年、東京オリンピック。聖火ランナーに任命されて、前日まで朝と夕方、ひたすら砂浜を走った俺達。紫と朱色が鮮や…
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赤いカーネーション 母へ
今年もまた、あなたの誕生日がきました。カーネーションが好きだった母。記念日には沢山の赤いカーネーションを贈ると、う…
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何気ない風景
人通りのない道端で、一瞬だけ目を閉じて歩いてみる。目が見えないことがこんなにも不安だなんて、幼い頃の私は気付かなか…
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冷たい百円玉
小学生のころ、週末になるとよくおつかいをたのまれて、近くのコンビニに行きました。お父さん、覚えていますか。おつりが…