第13回
-
お父さん、ご報告です
ここにはいないお父さん。入院中毎日付添いで泊まったこと。体調の悪い中、頑張って唱えてくれた本堂での最後のお勤め。自…
-
愛の香り
クローゼットの中を探していたら、あの緑色のカーディガンが見当たらないのよ、お母さん。あっちこっちと探っていくうちに…
-
ばあちゃんへ
ばあちゃんが亡くなってしまってから、もう三十年近く経ちます。ばあちゃんの居ない世界の中に一人残されるのは、高校生の…
-
認知症
おばあちゃんには会えましたか。私たちのこと、思い出せましたか。何かを繋ぎ止めるように毎日毎日チラシの裏に写生された…
-
亡き友へ
タケ、俺とお前は誕生日がすごく近くて、誕生日にお互いおめでとうを言い合った。悩みがある時は真剣に聞いてくれたし、俺…
-
プロポーズお受けいたします
「金婚式は盛大にやろう。俺たちで三代出来るのだ。我が家は長寿の家系だから」と、あなたはいっていたのに。私たちは金婚式…
-
たらこのおにぎり
ばあばが亡くなってから、一昨日でちょうど三年が経ちますね。ばあばの話が出る度に、私は、たらこのおにぎりを買って家に…
-
母ちゃんの一万円
母ちゃんの死んだ年まであと十年。ようやく八十二才になったよ。年回りも同じ寅年。平家落人(おちうど)伝説の残る県境の山…
-
笑顔の宝物
貴女の息子は六才になります。そして貴女が逝って六年を数えます。妊娠中にわかった癌、何度も何度も家族で話して。おとな…
-
耳の形
お父さんお元気ですか、いやそんなわけないでしょう。なぜなら、お父さんは私がお母さんのお腹の中にいる時に戦争に出征さ…