関東
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じいじのお年玉
「僕、来年からお年玉いらないよ」今年のお正月、中学生になったゆうちゃんがそう言ったの。お父さんは『五百円玉×(かける)歳…
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愛の香り
クローゼットの中を探していたら、あの緑色のカーディガンが見当たらないのよ、お母さん。あっちこっちと探っていくうちに…
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認知症
おばあちゃんには会えましたか。私たちのこと、思い出せましたか。何かを繋ぎ止めるように毎日毎日チラシの裏に写生された…
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たらこのおにぎり
ばあばが亡くなってから、一昨日でちょうど三年が経ちますね。ばあばの話が出る度に、私は、たらこのおにぎりを買って家に…
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母ちゃんの一万円
母ちゃんの死んだ年まであと十年。ようやく八十二才になったよ。年回りも同じ寅年。平家落人(おちうど)伝説の残る県境の山…
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急須の思い出
父さん、そちらの世界はいかがですか? こちらの世界は今コロナ禍で大騒ぎです。昨日お茶を飲もうと急須を手に取った時、う…
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同級生のお父さんへ
同級生のお父さんへお父さん、わたし、お父さんと同級生になりました。五十二歳で、早すぎると言われて旅立った、お父さんに…
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母親に戻った母
お母さん、ごめんね。認知症にもっと早くに気づいてあげられなくてごめん。結婚して同居していなかったからと言っても、月…
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古希の聖火ランナー
昭和三九年、東京オリンピック。聖火ランナーに任命されて、前日まで朝と夕方、ひたすら砂浜を走った俺達。紫と朱色が鮮や…
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冷たい百円玉
小学生のころ、週末になるとよくおつかいをたのまれて、近くのコンビニに行きました。お父さん、覚えていますか。おつりが…