各賞
-
手編みのセーターをありがとう
昌子よ、ご機嫌はいかがかな。今日は毎年教会で行われるお前の合同追悼祭に出て、お祈りをした。そのあと娘の由佳夫婦と大…
-
最後の気持ちです
「ほんの気持ちです」。あなたが嫁の私に贈り物をする時にいつも添えてくれた言葉です。お誕生日、お中元、お歳暮は欠かさず…
-
大丈夫、大丈夫。
生まれも育ちも下町で、江戸っ子だったお母さん。お父さんと二人で惣菜店を切り盛りして「はい、おまけ」「今日はキンピラ…
-
伝わっているよ
電車に乗るわけではないのに、ついつい駅の構内に入ってしまうことがある。そこで流れる、音声案内を聞きたいから。音声案…
-
お父さんのぎゅっ
昔、子供だった頃、お父さんとよく手をつないで歩いてたね。お父さんの大きな手が、私の小さな手をぎゅっと握る。今度は私…
-
命日の味ご飯
空が青く高くなると、またお父さんの命日がやってきます。久しぶりに、お父さんの好きだった「味ご飯」を炊こうと思います…
-
あなたからのプレゼント
私は怒っています。交通事故で、お別れの言葉も無く逝ってしまったあなたです。私は悲しみの闇の中でもがく毎日だった。で…
-
おばあちゃんの魔法
「風が来た」。木枠の窓が小さくカタカタと鳴り出す。次々と他の窓が震え出し、ガタガタン。といった後、おばあちゃんちの…
-
ふたりで一緒に。
もうすぐあなたの四十九日。でもまだあなたが側にいないことが信じられなくて、毎日あなたの写真に話しかけては泣いていま…
-
好青年から老紳士へ
じいちゃん、ごめんなさい。僕はどうやら飲兵衛(のんべえ)になってしまったようです。じいちゃんがあんなに身をもって教え…