お母さん、あなたが亡くなった時、私はなんて親不孝な娘だったのだろうと思う気持ちを止められませんでした。花嫁姿も見せていない、孫も抱かせてあげられていない。しかしそんな娘をあなたは愛情いっぱいに育ててくれましたね。お母さんを思い出すと溢れでてくるのは、笑顔で抱きついた温かな思い出ばかり。小さな私の手を繋いだ手の温かさ。ランドセルの背中にむかっていつも言ってくれた、いってらっしゃいの温かさ。思春期でぶつかりあっても最後まで私を受け止めてくれた温かさ。社会に出てもあなたはずっと私を子どもとして、温かく見守ってくれました。たとえどんなに傷ついても、見守ってくれる戻れる場所があることは私の心の支えでした。その手を無くしてからようやくその手の偉大さを知ったのです。
そんな私にも婚期が訪れ、かわいい子どもにも恵まれました。子の温かさがお母さんを思い起こさせます。あなたにこの温もりを感謝とともに伝えたかったと。だから私は子からもらう幸せと、あなたにこの幸せを伝えたかった淋しさでいつも涙を流してしまいます。そうすると小さな手で
「いたいのいたいのとんでいけ」
と娘が私の頭を撫でてくれます。こんなところまでお母さんに似てくれているのですよ。私は不思議と育児に関して悩みません。それはお母さんと同じようにしてあげていたら、とても幸せでうまくいくからです。きっと愛情を受けたことを心がたくさん覚えていて、その愛情を娘へと紡いでいっているからなのでしょう。お墓参りのときは、いつもこの愛の連鎖をお母さんに伝えたいと思っています。きっとこの想い、空まで紡いでいけているよね。