母へ 30代 宮城県 第5回 銀賞 広告掲載

お母さんありがとう
根津 ひとみ 様 32歳

 いつもの道を行けば、いつもの景色、いつもの家が、そして、「おかえり」と言ってもらえるような気がしてなりません。

三月十一日の大地震でお母さんは、天国へと逝ってしまいました。本当だったらいつものように「地震怖かったね」と長電話をしていたよね。一年以上の月日が過ぎていくけれど、この思いはきっとかわらないのだろうね。

お父さんは、あの濁流の中、お母さんを離さなかったんだよ。お母さんがお父さんだけでも生きてと、お母さんがお父さんを生かしてくれたのだと思っています。

でも、お母さん心配しないで、お父さんはお姉ちゃんの家にいるからね。姉妹、仲よくお父さんを支えていくからね。

悲しくて辛くなったら空を見上げるよ。子供達には、じいちゃんのようにたくましく、ばあちゃんのようにやさしい人になるんだよと話しているよ。

お母さんが私達を育ててくれたように、しっかり子育てするからね。天国から応援してね。

もっといっぱい話したかった。もっといっぱい色々なこと聞きたかった。もっといっぱい親孝行したかった。そして本当は、生きているお母さんに言いたかった。「お母さんありがとう」と。

関連作品

  1. 沈丁花(じんちょうげ)

  2. お母さん、ごめんなさいね

  3. 繁兄ちゃん弁当ありがとう

  4. お母さんの鼻歌

  5. 父の植えた「桜」の木

  6. おじいちゃんへ

PAGE TOP