お母さん、嬉しい報告があります。この秋、神様が私にも赤ちゃんを授けてくださいました。お母さんにとっての孫娘だよ。
まあるい頬っぺの可愛い女の子です。泣き出す瞬間の顔がお母さんにそっくりです。なぜか夜中の授乳のとき特に、お母さんに似ているなと感じます。もう会えなくなったと思っていたけど、こんな形で再会できたね。
お母さんは母親の愛情に飢えた人でした。生まれたばかりのお母さんを置いて、おばあちゃんが家を出て行ったんだったね。「私はお母さんに捨てられた」というのが長い間、お母さんの心の葛藤(かっとう)になっていました。「私には無償で愛してくれる存在というのが誰もいない」と一度だけ泣いていましたね。普段は気丈(きじょう)なお母さんの涙を見て、秘めた心の傷の深さが想像に余りありました。
慰めにはならないかもしれないけれど、私はお母さんの愛情に疑問を持ったことは一度もなかったよ。母の愛は海より深かった、と掛け値なしに思います。私が人生の荒波にもがいている時も、いつも味方してくれました。
こんな約束をしましたね。「今度お母さんが生まれ変わる時は私の赤ちゃんとして生まれておいで。私が大事に大事に愛して育ててあげる」。もしかしたらそれを覚えていて、赤ちゃんになって会いに来てくれたかな。もちろん、何があっても愛して守っていくよ。
母になって気付いたことが一つあります。おばあちゃんもこんな可愛い我が子を置いて行きたくなどなかっただろうということ。きっとよっぽどの状況だったんだろうと思います。お母さんは間違いなく100%肯定された存在です。
私も女性としてちゃんと陣痛が来て、ちゃんと授乳ができています。自分の体の変化に神秘を感じると共に、万全な体に産んでくれたお母さんにただ感謝の思いです。
これから娘を幸せに育てていくよ。つないだ小さな手を離したりしない。絶対だよ。