ねえ、お母さん。二人で過ごした一年九ヶ月を覚えていますか。あなたが最後の入院をした一年九ヶ月の間に、お互いに何回「何もできなくてごめん」って思っただろうね。
「どこにも行けなくてごめんな」って、夏休みに申し訳なさそうに言ってくれたね。「プレゼント買えなくてごめんな」って、私の誕生日に謝っていたよね。
ねえ、お母さん。二人で一緒に過ごせることが、私には最高のプレゼントだった。お母さんが生きていてくれること。隣りで笑っていてくれること。そのことが、涙が出るほど嬉しかった。
でも、二人で過ごす時間の中で、その日一番の笑顔の中で、それでもいつだって思ってた。「治してあげられなくてごめん」って。「代わってあげられなくてごめん」って。
ねえ、お母さん。二十四年間、大切に育ててくれてありがとう。二十四年しか一緒に過ごせないことを知っていたみたいに、あなたはたくさんの愛情を私にくれました。自分のことだけで精一杯で、周りにやつあたりしたっておかしくない病気の体で、あなたはいつだって優しかった。
お母さん、ありがとう。あなたが生きたことを、あなたにもらったたくさんの愛を、私は一生忘れません。
ねえ、お母さん。いけないことをした時に、「親の顔が見てみたい」って言われることがあるよね。だったら私は周りの人に、「いい親に育てられたんだろうな」って思ってもらえる人になりたい。
「この寿命を分けてあげたかったなあ」って思うくらいに長生きして、何年かかっても語り尽くせないくらいのたくさんの思い出を作って、そしてあなたに会いに行きます。