あなた……天国で大好きだったお兄さんに会えましたか……。
あなたが旅立ってから、二回目の夏が過ぎようとしています。
お兄さんの葬儀で、あなたは人目もはばからず号泣したのを、昨日の事のように思い出します。そして、その後を追うように、あなたは旅立ってしまいましたね。
一年半の闘病生活、お互い覚悟はしていて、気丈にふるまっていたけど、あなたの気持ちに寄り添ってもっと優しく接してあげればよかったと後悔しています。
あなたと最後に過ごしたイヴの好古園、あなたはおぼつかぬ足どりで一生懸命歩きましたね。
そして、家からこっそり持ってきたおみかんを2コ、手品のようにポケットからてれくさそうに出してくれて、二人でベンチで食べましたね。あの時のおみかん、最高においしかったよ。ありがとう。
今でも、みかんを見るたびに、イヴの事を思い出します。
年が明け、最後の治療が終わった時、「俺の事は、もういいから、おまえは頑張って生きていったらいい」と、病院の帰りに、ぽつりとあなたは言いましたね。その言葉は、私の胸にいつまでも深く刻まれて、とても苦しくて辛かったです。
そして今、私は、あなたの言葉どおり頑張って生きています。
淋しくて仕方ないけれど、一生懸命、前を向いて生きています。
だから、見守っていて下さいね。
そしていつか、天国で、あなたの大好きだったおみかん、ふたりで食べましょう。