祖母へ 30代 東京都 第14回 入賞

おじいちゃんへ
斎藤 友紀子 様 35歳

 おじいちゃんへ

 パパでもあり、親友でもあり、尊敬できる先生でもあったおじいちゃん。いつも、雲から私を見ていますか? 大好きなたばこと、ステーキを食べていますか?

 二歳の時、パパとママが離婚して私はおじいちゃんとおばあちゃんの家にやってきました。そして五歳になり、フィッシャー症候群という難病に倒れ、東大病院に入院することになり、絶望でした。窓から元気な子供が遊んでいるのを見てはため息をついて、夜も怖くて眠れない、病院に一人で怖かったなぁ。そんな時、看護師さんに窓から外を見てごらんと言われて見ると、車のライトを全部点けて、その車の前に大きく笑顔で手を振るおじいちゃんがいたのでした。凄く生きる希望になりました。パパがいないのでパパの代わりにいつも一緒にセミとりにいったり、野球観戦、自転車も教えてくれました。難病が治った後、ママが再婚して新しいパパとお兄ちゃんと急に住むことになり、鬱になって引きこもりになり、おじいちゃんの元に帰りたいと言いました。結局また離婚して、おじいちゃんの安心できる家に帰ってきたのです。でも、難病や親の離婚が原因でいじめられ、毎

日泣いて帰ってきた時、「泣きたい時は沢山泣きなさい、思いやりを持てば大丈夫」といつも抱きしめてくれました。

 十二歳の時、おじいちゃんは急に癌で天国にいってしまいました。とてつもなく悲しかったけど、悲しみを糧に今では私は、とても健康になって、自分の描くアート作品がロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、京都で展示できるまでになり、人種と年齢、性別を越えて沢山の仲間と出会える人生になりました。

 おじいちゃんは天国からどんな気持ちで私を見守ってくれているんだろうと思いました。一人何役もしてくれたおじいちゃん。今度は私が何役にもなって、周りを笑顔にする人間になるって決めました。天国から大好きな笑顔で、不器用な私をどうかこれからも見ていてね。いつか、私も天国に行くとき、大好きなステーキを一緒に食べて笑い会える日を楽しみにしてるね。

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