父へ 60代 福岡県 第9回 佳作

父ちゃんへ感謝
前田 玲子 様 69歳

 父ちゃん、元気ですか。

6人姉兄だったのに、今は四男の兄ちゃんと末っ子の私だけになってしまったよ。

子供の頃は天敵のようにケンカばかりしていたのに、現在は数日おきに電話し合って昔話をして仲良く笑っているから安心してね。

もう私も69歳になったよ。69歳になってつくづく思うのは、両親に愛されて育ったなあという事。

この年になってもまだ胸の中には、自分は本当に愛され可愛がられたという自信があるから、少々辛い事があってもへこたれないで生きてこられたよ。

親に愛されるって大事なことなんだね。

父ちゃんは47歳、母ちゃんは43歳だったのに迷わず私の誕生を喜んでくれて有難う。

小学校に入学すると毎月の参観日には必ず来てくれて、遠足にもビシッとスーツで参加。友達はちょっと引いてたけど、皆の分まで沢山写真を撮ってあげたから喜んでくれてたよ。

父ちゃんは私の事をいつも「お宝、お宝」といって頭を撫でてくれたね。

通信簿を見せた時、リレーで優勝した時、母ちゃんのお手伝いをした時、そして何もしなくても「お宝、お宝」と笑顔で撫でてくれたね。正直、耳から入る「オタカラ」の意味はわからなかったけど、父ちゃんが嬉しそうに笑ってるからきっと褒(ほ)められてるんだろうと、勝手に思っていたよ。

後で「オタカラ」が「お宝」だと気付いた時にこみ上げた嬉しさは、今思い出しても心があったかくほんわかしてくるよ。

私には中学2年の女の子と小学5年の男の子の2人の孫がいてくれるから、この子達にも愛される幸せを伝えるからね。

父ちゃん、親孝行できなくてごめんね。

そしていっぱい愛してくれてありがとう。

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