お父さん、子供の頃は、よくあちこち車で連れて行ってくれたよね。夏の海では、泳いでいるお父さんの背中につかまって私は泳いでいた。レンゲ畑では、お父さんの得意の逆立ちを見せてくれた。私の大好きなお寿司を食べに行った時は、好きなアワビを何度も、注文させてくれた。値が高いので青い顔になっていたね。冬、昼寝する時、二人とも横になって、私の足をお父さんのふくらはぎの間に挟んで寝ていたね。幼い頃、母を亡くして「お母さんが欲しい」と言って困らせた結果、結婚してお母さんをつくってくれた。私が欲しいというものは、自分の命までも差し出すお父さん。自分の我がままをいつも押し通してしまう私に、いつも穏やかで、優しかった、お父さん。大好きでした。食べる事が人一倍好きだったね。家事一つ手伝わなかった私は、今、できる限りの手料理を作って上げたかった。色々な所に一緒に食べに行きたかった。
お父さんに、私は大事なものを教わりました。一生懸命働くこと、愛して育むこと。人を疑わないこと。そしてそれを、私が子供に伝えようとしているんだよ。
長いこと、お父さんから離れて暮らしていたけれど、一度もお父さんの事は忘れたことは無かったよ。私の中には、いつも「私には、お父さんが居る!」という思いがありました。私は、お父さんの子で良かった。とても幸せでした。
男手一つで、私を育ててくれて本当にありがとうございました。そして大好きでした。
向こうで、ゆっくり休んで下さいね。そして私達のことを、いつまでも見守っていて下さいね。お願いします。
みどり