あなたが旅立って、早くも五回目の夏が過ぎようとしています。
ねえ、聞いてよ。
寂しいです。
つまらないです。
会いたいです。
あなたがいたころは、休日を待ちかねていろんな所へ出かけたよね。四季折々の美しい自然を求めて山や渓谷、川や海などたくさん行ったよね。
家にじっとしているのが嫌いだった私たちは、二人が定年退職したら全国を愛車で旅しようとよく言ってたのに、あなたは肺ガンを患い二年間の闘病の末、家族を残し逝ってしまいましたね。
夫と言う名の相棒を失った私は、どこへも出かけられなくなり家で過ごすことが多くなってしまいました。だって一人出かけても全然楽しくないし、悲しくて辛くて虚しくなるだけだったから……。
家の中の不具合が起こった時、あなたがいなくなって自分の無力さに涙がこぼれたり、庭の手入れや草引きもすべて一人でやっていると無性に悲しくなってきたりしたものです。どれだけあなたに頼って生きてきたのか、ありがた味が後から後から分かってきて切ないです。
それでもあの日から私は、子どもたちの為にしっかりしなくてはと頑張ってきたつもりです。
ねえ、聞いてよ。あなたが亡くなった二年後、娘は縁あってステキな人と結婚し、とっても可愛い女の子が生まれたよ。初孫、あなたにも抱かせてあげたかった。目を細めてかわいがる姿が目に浮かびます。
それから大阪在住だった息子は、一人になった私を案じて戻って来てくれたよ。今は息子と二人暮らしで心丈夫です。あなた以上に釣り好きで、新鮮な刺身をご馳走してくれます。私たちのこと、これからもずっと見守っていて下さいね。