1歳だったはるちゃんが社会人ですよ。朝ごはんも食べられないくらい緊張の毎日で、愚痴をこぼしながらも満員電車に乗って出かけていきます。初月給で私とママさんに焼肉をご馳走してくれました。
「最初からご馳走するって言ったら、遠慮して食べないでしょ」と会計の時になって伝票をつかみました。そんな気遣いもできる事に驚き、涙があふれてきました。
赤ちゃんが欲しいのになかなか授からなくて、周りの心無い言葉に傷つけられた事もありましたね。諦めかけたときの思いがけない妊娠は、結婚6年目のハッピーニュースでした。
はるちゃんがヨチヨチ歩き出して、初めてディズニーランドに連れて行った翌月、あなたはある朝突然私たちの前からいなくなってしまいました。前日も近くの公園にお弁当持って遊びに行ったのに、おやすみって眠ったのに、翌朝目覚めることなく、たった33年の人生を閉じてしまいましたね。
あれから21年間いろいろな事がありましたよ。最初はあまりにも突然の出来事を受け入れる事ができず、泣いてばかりいましたが、物心つかない子供の前で泣いてばかりいたら、暗い子供になっちゃうよ!ってママさんに叱られて……。それから我が家は「明るい母子家庭」であることを心がけてきました。そして本当に明るく元気でまっすぐな女の子に育ちました。
あなたがいなくなって、私はたくさんの友達に助けられ守られてきました。「友達はおまえの財産だな」と恩師に言われ、その言葉を胸に生きてきました。同じように今、たくさんの仲間に囲まれて、若者らしい華やいだ日々を送っているはるちゃんの姿をみると、仕事が忙しくてきちんと「子育て」してこなかったのに、みんなに愛される子になった事がちょっぴり自慢でもあります。空の上から見ていて、あなたもきっと自慢の娘と喜んでくれている事でしょう。これからもずっと見守っていてください。