会えんくなって、もう二年やね。なんて、突然でびっくりさせたかな。
今日部屋を片付けとったら、演奏会の楽譜を見つけてさ。君に無性に会いたくなったんよ。でも叶わへんから、慣れんけど手紙にするよ。
君のおかげで、私はやりたいことに向かって頑張れるようになったよ。
私さ、大学で合唱部に入るか迷ったって話したっけ。歌は好きやけど、人前に立つ度胸はないし、そもそも合唱なんて柄やないし……。色々理由を並べたけど、単にやりたいことに挑戦する勇気がなかった。そんなとき、君は「ゆかと一緒に歌ってみたいな」って言ってくれた。君にとっては何気ない一言やったかもしれんけど、その言葉に後押しされて、やってみようって。部活は充実しとったけど、思った以上に忙しくてキツい毎日やったよなあ。でも、挑戦して良かったと思っとる。あのときの君の言葉がなかったら、私は今も臆病なままやったから。
私の背中を押してくれてありがとう。
君は、去年の秋に卒業コンサートをやる予定やったの覚えとる? あれさ、コロナの影響で中止になって。でもな、代わりに何か残したいと思って、一曲だけ皆で歌って、それを録画して映像として残せたよ。私、進んで行動できた。今までの私じゃ考えられへん行動やけど、君のおかげで、やりたいことには挑戦しよう!って思えたから。唯一の心残りは、君と一緒に歌えんかったことやなあ。
君がこの世におらんって事実、今でも完全には受け入れられへん。帰り際、「ゆか、今日もお疲れ。また明日な!」っていつもの笑顔で言ってくれたからかな。あれが最後って思いたくなくて。涙が枯れるほど泣いたのに、どこか他人事のように感じる瞬間があるんよ。
それに、君とはたくさん話をしたのに、何を話したのか、だんだん思い出せなくなってきとる。交わしたはずの言葉がぽろぽろ落ちていく感覚で。それを拾い集めても、また手の隙間から溢れていってしまうんよ。
私、なんて薄情な奴なんやろ、ごめん。こんな私を許してくれるんなら、いつか再会できたとき、めいっぱい話をして、一緒に過ごせんかった時間を埋めたいよ。それと、君の明るくて真っ直ぐな歌声、また聴かせてよ。そしたら、私は初めて心から涙を流せる気がする。