友人知人へ 30代 岐阜県 第14回 佳作

永遠のいたずら
代財 愛陽里 様 36歳

 共通の趣味で知り合い親友になった『りぃさん』。まだ、三十代前半だったりぃさんが、癌を患い。ふたりの赤ちゃんと奥さんを置いて、先立ってしまってから、もう五年ほどになりますね。

 りぃさんが入院中、一度だけお見舞いに行きました。お見舞い最後に「ハグしとく?」と言われたけど、それをしてしまったら本当に「今生の別れ」を突きつけられた気がしたので、私は断り握手だけして病室を去りました。また、会える。願掛けのためにも、ハグは断ったんですよ。りぃさんは、エレベーターまで私を送ってくれました。最後に交わした言葉は、「あれ? キミのウエストどこにあるの?」と。私は「ここにあるわぃ!」とウエスト部分を示し、エレベーターの扉が閉まりました。笑わせあって、他愛のない会話を楽しんで来た私たちらしいやり取りだったかもしれません。それでも、扉が閉まると何階へ行くのかボタンを押すのを忘れるくらいには、悲しみに暮れて思考回路が止まってしまいました。

 お見舞いに行ってから二週間後くらいに、りぃさんから手紙が届きました。「今後、あなたが何かにつまずいたり転んだりすることがあったなら、それは僕が寂しくて、あなたにちょっかいを掛けている証拠です。だから、大丈夫」と書かれていました。ねぇ、りぃさんは預言者だったのでしょうか? 私はこの人生、何度もつまずいています。心を病んでいることもあって、塞ぎこむことも多いのです。りぃさんからの手紙を見て、私は涙が止まりませんでした。いつだって優しかったりぃさんの最期の言葉があったから、私はそれからの人生で何があっても、「まーた、りぃさんのいたずらね」と踏ん張ることが出来ました。りぃさんのことは、過去の友達ではなくて。今でも大切な親友だと思っています。きっとそう思っているのは、私だけじゃないですよね。

 りぃさん、本当にありがとう。これからも、最高の親友りぃさんのいたずらと共に、「今」を生き抜いてみせます。

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