祖父へ 10代以下 兵庫県 第13回 入賞

想い
渡辺 純矢 様 17歳

 私は自宅の一階で中間テストの勉強をしていました。あなたの訃報を聞いたときに。そのとき、正直、私は複雑な心境でした。今、思い返すと、そのときの自分を殴ってやりたいです。本当にごめんなさい。

おじいちゃん、お元気ですか。酒飲みで、たばこ好きで騒がしいあなたが、私は正直、好きではありませんでした。正月や夏休みに帰省するときも、私はあまり乗り気ではありませんでした。だから、私はごはんを早く食べ、隣の部屋で早く寝ていたのです。父と二人で訪ねたときも、あなたが夜中に暴れたせいで私は眠れず、疲労困憊(こんぱい)しきった祖母の声が忘れられません。

その後、入院されたあなたを、お見舞いに訪ねましたよね。以前とは想像がつかないほどに変わり果てた姿は、今でも私の脳裏に、はっきりと焼き付いています。ベッドの側に来た私の手を、あなたは無言で力強く握り締めました。

そのとき、あなたの想いが私の心の奥底まで届きました。「がんばれよ」と。言葉にならない不思議な感情が私を涙させました。それが、あなたとの最後の想い出ですね。なぜ私は、私の想いをあなたに届けなかったのだろうと、今では思います。

今、私は、あなたがもの凄く恋しいです。人は失くして初めて気づくものですね。思い返せば、あなたの振る舞いは、日頃の「寂しさ」からきていたのだと思い、切なくなります。

いつも段ボールいっぱいの果物を送ってくれていましたよね。なぜ、その「優しさ」に気づけなかったのだろう。そして、苦しい時代を生き続けて、「命のバトン」を繋げてくれたあなたに、なぜ、あまり感謝することができなかったのだろう。本当に後悔ばかりです。

ただ、後悔ばかりの私をあなたは怒るでしょう。私は、あなたの最後の「想い」を胸に精一杯、生きます。そして、またいつか必ず会いに参ります。私の「想い」を伝えに。

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