あなたは、私を、そしてあなたの子供ではない三人の子供達を、見返りのない愛情で、ずっと支え続けてくれました。
私が、生後八ヶ月、二歳、五歳の子供達を連れて故郷に戻り、就職して四年目。過労と睡眠不足から『パニック障害』になり、辛い日々を送っていたとき、あなたは現れました。弟のバイク仲間で、唄の好きなトラックの運転手さん。あなたは事あるごとに子供達によくしてくれ、次女が入院したときには、長女と一番下の息子の面倒をみてくれましたね。娘のピアノの発表会の日、「仔犬のワルツ」を弾いた長女に、「よく頑張りました。ご褒美は仔犬です」と、ずっと欲しがっていたミニチュアダックスを買ってくれました。実の父親と離れた寂しさから反抗ばかりしていた長女に、あなたは本当の父親のように接してくれました。誰が見ても、娘とあなたは本当の親子でした。今、仔犬があなたの形見です。
年上のあなたを、私は「お父さん」のようにしか思えず、あなたにとっては子供が四人いるような感じだったでしょう。もう結婚はしたくないと思っていた私は、あなたの気持ちを受け止められず、あなたに辛い思いをさせていたと思います。ごめんなさい。真夜中仕事に出掛けるあなたに、寝ぼけながら作る私のお弁当は、毎日、白い御飯に梅干しと卵焼き。それでも、「ありがとう。行ってきます」と嬉(うれ)しそうに手を振るあなたは、生真面目を絵にかいたような人でした。
今まで一度も病院に行ったことのなかったあなたが、急な入院。そして数ヶ月後に逝ってしまってから、はや三年。あなたへの沢山の感謝の気持ちと、言葉にできない後悔の念が、今も私の胸を締め付けます。
私と子供達はいつも、あなたのことを話しています。「まっさんが唄う『宇宙戦艦ヤマト』、聴きたいね~」……あなたは今でも、子供達の「本当のお父さん」です。