姉へ 30代 新潟県 第1回 入賞

ありがとう。夢で会おうね。
加藤 美奈子 様 39歳

「わかった! ありがとう それじゃあ おやすみなさい」

 それが姉ちゃんとの最後のメールになっちゃった。私ね、姉ちゃんに謝らなきゃいけないことあるんだ。姉ちゃんが亡くなる前日仕事をしている時から病院に行かなきゃいけない気がしていたんだ。だけど右に曲がれば病院、左に曲がれば家。悩んだすえ私は、左を選んで家に帰った。「どうせ2日後に会えるから」という軽い気持ちが最後になってしまった。まさかその次の日の朝亡くなるなんてメールでも分からなかった。

 今でもこれからもきっと後悔したままだと思う。「ありがとう」いつも私達が帰ろうとすると言ってたね。だけど私が子供3人をかかえて家に戻った時から育ての親のように可愛がり育ててくれた事は、今でも有り難いと思っています。これからはそこから見ててください。夢でもいいから会いたい。

 毎日毎日があっという間に過ぎていく。姉ちゃんが見たがっていた桜も今年は、長く咲いていたし、行きたがっていた山菜採りにも行ったよ。

 だけど、何をしていても何を見ても喜べない私がいるんだ。

 無理に笑おうとしているけど、やっぱり無理。一人になると涙が出てきちゃう。

 ねえ。私姉ちゃんと同じ年になったよ。これからは、私と一緒に年をとっていこうね。いつも側にいてね。

 それじゃあ。またお便りします。

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