母へ 60代 宮城県 第11回 入賞

天国のお母さん、今、伝えたい私の思い
大久保 克子 様 62歳

 お母さんは天国で私のことを、まだ、心配していますか……?

小さい頃からお母さんを困らせ心配をかけ続けた私も少しは、お母さんの気持ちが分かる齢になりました。

私は、顔に傷を持って産まれてきました。そのためにお母さんは、女の子だから随分と私の将来を心配してくれましたね。子供の頃は、その傷もそれほど気にならずにお母さんの優しさの中で守られて成長してきましたが…… 。自分の心の中では、年頃になった時に顔の傷のことで悩む時が来るだろうという思いがずっとありました。

年頃になるにつれ、顔の傷は、私の心を苦しめるようになりました。私は自分が悩んでいることを周囲の人達に隠しました。自分の心の葛藤を誰にも知られたくないと強く思っていたからです。お母さんにも隠しました。でも生きていると他の悩みも出てきます。私は、色々な悩み苦しみに、押し潰されそうになりました。

私が生きているのが苦しくなった時、私はお母さんに酷い言葉で詰めよりましたよね。

「何故、私を産んだのか、私は生まれてきたくなかった」と。お母さんは何も言い返さず、私の気持ちを聞いてくれました。あの時のお母さんは、どんなに辛かったか…… 。私は、自分に子供が与えられて初めてあの時のお母さんの気持ちが痛いほど分かりました。お母さんの気持ちが分かるまでに時間が、経ち過ぎました。自分が産んだ子供に生まれてきたくなかったと言われることほど辛いことはないですよね。

私は、色々な出会い、学び、経験を通して、顔の傷も神様が私に与えて下さったものと感謝して受け入れることが出来るようになりました。

お母さん、私は、今、生まれてきて良かったと思っています。私は、幸せです。色々とクヨクヨすることはありますが、大丈夫です。天国で私の生きている姿を見ていて下さい。

お母さん、「産んでくれてありがとう」。感謝しています。お母さんの子供だから、強く、優しく生きていきます。

 

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