母へ 10代以下 神奈川県 第5回 銀賞

世界で一番可愛い娘より
上岡 玲美子 様 18歳

 私は今、無事に念願の第一志望の大学に入学して、一人暮らしをしてるところだよ。 お母さんは中学までの派手だった私しか知らないから、きっと今頃ギャルになっていると思ってるかもしれないけど、私変わったんだよ。

お母さんにあんなに切れと言われても、絶対に切らなかったロングヘアは、今ではバッサリショート。周りからは短い方が似合うと言われるから、もっと前から言うこと聞いていればよかったかな。

見た目は随分おしとやかになったけれど、にぎやかな性格は変わってないよ。中身はお母さんの知っている私のまま。でも、私は常に明るく振る舞っているけど、実は傷つきやすいこと、お母さんだけはわかってくれたね。

辛いことがあったとき「大丈夫」と言うと「大丈夫って言ってる時はいつも大丈夫じゃないじゃない」と言って抱きしめてくれたよね。

大学で一人暮らししてる子が「お母さんに会いたい」「お母さんのご飯が食べたい」って言うんだけど、それは実家に帰ったら叶う願いで。

私には、実家に帰っても叶わない願いだと、わかっていてもお母さんに「今度オムライス作って!」とメールしてみる。もちろん、届かない。電話もかけてみるけど、やっぱりつながらない。

涙が出るだけだから、もうするのやめたけど。この手紙だけは見ていてくれてるといいな。今、全然大丈夫だけど、お母さんにまた抱きしめてもらいたいよ。

そういえば、お母さんはいつも私のことを「世界一可愛い」と言ってくれていたよね。あの頃は「もっと可愛く産んでほしかった」と文句を言ってしまってごめんね。

お母さんの言っていた可愛いは顔だけじゃないんだよね。私も子供を産んだらわかるかな。私も、将来世界で一番可愛い子供を産んでみせるけど、お母さんの中で世界で一番可愛い子はいつまでも私でいさせてくれる?

大好きなお母さんに世界で一番可愛いと言われて、私は幸せだよ。こんなに幸せな娘として産んでくれてありがとう。

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