私は怒っています。交通事故で、お別れの言葉も無く逝ってしまったあなたです。
私は悲しみの闇の中でもがく毎日だった。
でもあなたは、私に最高のプレゼントを与えてくれたね。それは遺品の整理していた時あなたの部屋で偶然、見つけましたよ……。もう50数年も前に恋愛中だった頃、私があなたに出した数枚の「手紙」です。
“サプライズ”
薄っぺらい便箋に青インクがにじんでいて何回もくり返して読んでくれたのでしょう⁈手垢だらけ、今にも破れそうでボロボロ…。なのにあなたは大切に保管してくれていた。折り目正しくきちんと封筒に入れて。
そして数冊のらくがき帳のような「大学ノート」です。
このノートには「風呂場からナツメロ聞こえ、和子(かずこ)元気だ…」とか、どのページをめくっても「和子…、和子…、和子…」としるされてあった。私の名が毎回、綴られている。
もう、じゅうぶんよ…。
ところどころのページにコーヒーのしみがついてあったり、タバコの焼け焦げた跡があったりと…、そして机の上には「老眼鏡」。ありし日のあなたが、そのまま…。
あなたの部屋なのにあなたがいない。私は本当にあなたがいなくなったと実感し、初めて声に出して泣きました。
『愛をいっぱいありがとう! 夢もいっぱいありがとう!』
私は今度、生まれてくるときも不器用で、涙もろい、あなたに愛され、あなたの妻となるために生まれてきたいと思う。
私は、もう米寿迎えます。
でも近い内にきっと会えますわ。そうね、あなたの隣の席がいいかしら…。